ダンボールアーティスト オダカマサキがダンボールや小川和紙で造形した、ダンボールアート、和紙造形作品の一部をご紹介いたします。


オダカマサキ ダンボールアート作品

ダンボール自体が持つ素材の色を影で彩り、ダンボールモノトーンな世界観の中で、色や質感を再現することにこだわっています。
そのためにパーツの分割、パーツの造形、貼り合わせを組み合わせ、繊細な影のコントロールを行っています。
ダンボールをキャンバスに影で描き、色や質感、形を浮かび上がらせるのが、僕のダンボールアート制作の最も重要なポイントになります。
僕のダンボールアートを見ていただく際に、ダンボール同士の間に落ちる影に注目していただけると嬉しいです。


ダンボールはGフルート(0.8mm厚)をメインに、Eフルート(1.5mm)の板材を使用しております。

そのままの厚みで使う、潰して使う、剥がして使う。

1枚の紙から3つの厚みを使い分けられることが、ダンボールを使う一番のメリットです。


龍神 2018年制作 Eフルート

龍をモチーフに、今まさに天に昇ろうとしている姿をダンボールで造形

大きくうねる体のシルエットに対し、鱗を一枚ずつ貼ることで、荒々しさと、躍動感を狙った

単体では自立が困難なため、山に見立てた流木に巻きつけることで、これから昇る天と今いる地を表している


造形のポイント

躍動感を感じる造形と、鱗の高密度造形の両立

初めての展示用に作成した、オリジナル作品。

初期の作品のため今見ると制作方法、特に貼り付け方に寄る強度不足が顕著だが、必死さから来る「荒々しさ」を感じる作品である。躍動感の有る捻じりを再現しようとしているが、背と腹は同じ方向でしか作れていない。

のちにこの問題は改善され、次作昇段龍へとつながる。


尾長鶏 2018年制作 Eフルート、剥がしダンボール(羽)、針金、流木

花鳥風月をテーマとした展示会用に制作。尾長鶏をモチーフとしたダンボール無彩色の作品に対し「彩鶏」と言うタイトルを付けた。作品展示に際しダンボール色の紅葉の葉を展示台、尾羽に配すことで、紅葉・落葉を表現し、見る人の想い出にある「紅葉色」に彩ながら見ていただきたいと言う思いが込められている。


造形のポイント

羽の形状、切り方、貼り方に変化を付けて、影をコントロールし、立体感、質感に変化をつける。

 

花鳥風月から尾長鶏を思い付き、鶏のベース形状は数日で完成。それに対して2ヶ月半、来る日も来る日も羽を切って貼ってを繰り返した作品。僕には鶏を作っていた記憶は少なく、とにかく羽を沢山の作った辛い思い出が懐かしい。一番長い尾羽は映画一本分くらいの時間がかかり、死に物狂いで作成した。この作品を通して、0.2ミリピッチでのカットを会得し、その後の植毛に活かされることになります。

尾長鶏 2018年制作 Eフルート、剥がしダンボール(羽)、針金、流木

花鳥風月をテーマとした展示会用に制作。尾長鶏をモチーフとしたダンボール無彩色の作品に対し「彩鶏」と言うタイトルを付けた。作品展示に際しダンボール色の紅葉の葉を展示台、尾羽に配すことで、紅葉・落葉を表現し、見る人の想い出にある「紅葉色」に彩ながら見ていただきたいと言う思いが込められている。


造形のポイント

羽の形状、切り方、貼り方に変化を付けて、影をコントロールし、立体感、質感に変化をつける。

 

花鳥風月から尾長鶏を思い付き、鶏のベース形状は数日で完成。それに対して2ヶ月半、来る日も来る日も羽を切って貼ってを繰り返した作品。僕には鶏を作っていた記憶は少なく、とにかく羽を沢山の作った辛い思い出が懐かしい。一番長い尾羽は映画一本分くらいの時間がかかり、死に物狂いで作成した。この作品を通して、0.2ミリピッチでのカットを会得し、その後の植毛に活かされることになります。


玄武 2019年制作 アーカイバルボード1.5mm、剥がしアーカイバルボード(蛇の鱗)

折りをメインにした亀「マタマタ」と。切り貼りをメインとした蛇「クサリヘビ」をモチーフに、四神の玄武を造形。造形アプローチの違う二頭を絡ませることで「強さ」と「しなやかさ」を対比させ、グレーのダンボールを使うことで石像の様な質感を狙った。

造形のポイント

マタマタ:折りで皺や質感を造形し、少ないパーツで生き物感を再現、皺と甲羅の作り分け

クサリヘビ:剥がしたアーカイバルボードの鱗を曲面に沿って貼り、影を出しつつしなやかさを表現。

初めてアーカイバルボードを取り入れた作品。ヘビはほぼ龍と同じ作り方で作れることがわかっていたので、亀の甲羅と皺をどう再現するかに全精力を傾けた。亀の甲羅は1枚の紙をどう立体するか悩み抜いた結果であり、構造、形状、時間のバランスが取れた良い造形になった。亀の腹側までしっかり作り込んだが、展示時全く見えない。この見えない部分の作り込みが立体の宿命であり、楽しいポイントである。


クトゥルー 2020年制作 Gフルート

 

クトゥルー神話に登場する邪神「クトゥルー」を造形。
大きな頭と力強い上半身、華奢な下半身のデザインとし、左右非対称の中腰ポージング、大量の有機的な触手を配したのデザインとし、躍動感を演出している。

 

造形のポイント

ヌルヌルした質感を捏ね+対比となる鱗で再現。

 

触手を作る!が副題の作品。固くカサカサしたダンボールで、蠢くヌメヌメした触手をどう再現するかにトライした。
本数を増やし、触手同士の影が重なることで、それぞれの触手の向きや表情に大きな変化をつけている。
触手は切る時点で大まかなうねりを決め、捏ねることで全方向への表情付けをコントロールしている。
この職種の制作方法が、後の作品の様々なポイントに活かされている。


トントゥ 2020年制作 Gフルート、剥がしダンボール(毛)

 

子供たちが寝静まったあとにやってくる、おじいちゃんの姿をした妖精を造形。

仕草や表情を作り込んだ習作。

顔、服、髭の質感や色を再現するために、顔は細かく作り込み、服は柔らかい面が残るように捏ね、髭は影で柔らかさと色が濃く見えることを狙っている。

 

造形のポイント

質感の作り分け、表情の作り込み。

構造の簡略化。

 

剥がしたダンボールで長い髭を再現するにあたり、先が細くなるように揃っていくのだが、長くなるから根本が太くていいわけではなく、繊細なカットが要求される。通常はハサミで切り出すが、最も長い髭はカッターで切りした。その際カットが直線的になってしまうので、造形後一本一本の毛に表情を付けてから貼り付けることで、違和感を低減している。

顔は目、鼻、耳、毛以外は一枚のダンボールを捏ねて造形しているため、極力継ぎ目の無い造形を達成している。


角伸龍「エグルドラ」 2021年制作 Gフルート、7色LED

 

NHK Eテレ「ダンボマスター クラフトドキュメント」
出演時に、一週間密着撮影で制作した作品。
子供の夢を叶えるという企画の中で、息子の書いたドラゴンの絵をもとに、ドラゴンの被り物を制作。息子の要望で口の開閉と連動して角が伸び、リモコンで目が光ります。

 

造形のポイント

重厚感のある造形としつつ軽量な仕上げ。口の開閉と連動した角の構造。

 

一週間の中で、息子の下書きから試作、息子との方向性相談、可動機構の考案、デザイン変更、造形、間に合わせる!というタイトで濃密な創作となった作品。
ドラゴンはよく作っていますが、パーツが大きくなると加工に必要な力が倍増し、強度不足になるところも出てきます。さらに子供の頭が入るためのスペースを確保しなければならない・・・
無事達成できたのは、僕の標準の作り方が外骨格的な構造で、中が空洞の作品がほとんどだったこと。
とても充実して楽しい制作でした。


QTTA 「コク味噌味」 2021年制作 Gフルート、剥がしダンボール(肉)

 

ご依頼いただいた作品。

コク味噌味のコクのある旨味、スパイシーさを再現するために、容器のロゴや写真をパンチの効いた半立体とし、具は色や質感を作り分けた。

コシのあるしっかり麺は、ダンボールを捏ねて力強く造形

箸も浮いちゃいます!

 

造形のポイント

ダンボールでの美味しさの演出。具材の色や質感、コシのあるモチモチ麺の再現。

ダンボール麺の強度で箸を空中に浮かせる。

 

Gフルート+切る、折る、捏ねる、粉にする、貼るという基本的な技術を最高のクオリティで融合させて、容器、麺、具の形状、質感、美味しさの表現にトライ。
アイキャッチとなる箸を浮かせる麺は、ダンボール麺単体では支えられないが、捏ねて強度を上げて、お互い支え合うように接着し、麺の密度を上げることで達成している。